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教員氏名 大場 健司
ローマ字 Oba Kenji
所属学部 人間科学部
所属学科 心理・文化学科
職名 講師
所属学科(兼任) 人間科学研究科 人間科学専攻
研究室 耕学館3階 E325大場研究室
研究室TEL 093-693-3139
メールアドレス obakenji@kwuc.ac.jp
主要担当授業科目 大学院:修了研究I、修了研究II、日本近代文学演習
学部:卒業研究演習I、卒業研究演習II、メディアと現代文化、ビジュアル文化論、日本近現代文学、海外臨地研究、ゼミナールI、キャリア基礎演習I、文化文芸概論、人間科学概論、文化文芸インターンシップ、伝わる文章力、日本語表現法I、日本語表現法II
専門分野 比較文学・比較文化
日本近現代文学
オフィスアワー 前期火曜3限
後期水曜3限
学生の皆さんへ 文学や思想、サブカルチャーなど、人文科学の教養を学ぶと、世界を違った角度から見ることができるようになりますよ。興味がある方はぜひ研究室にいらっしゃってください。
最終学歴 九州大学大学院地球社会統合科学府地球社会統合科学専攻 博士(学術)学位取得(博甲第47号)
取得学位 「博士」(学術)(九州大学博甲第47号)
職歴 韓国・朝鮮大学校外国語学部助教授、台湾・国立国防大学語文中心専任教師などを歴任
所属学会名 日本比較文学会
日本比較文学会九州支部
International Comparative Literature Association (ICLA)
日本近代文学会
日本近代文学会九州支部
九州大学日本語文学会
韓国日本文化学会
台湾日本語文学会
日本アメリカ文学会
九州アメリカ文学会
世界文学・語圏横断ネットワーク
岩手大学人文社会科学部宮沢賢治いわて学センター
宗左近・花の会
教育研究社会活動 【概要】
九州大学「博士」(学術)。比較文学・比較文化、日本近現代文学専攻。台湾:国立台湾大学外国語文学研究所交換留学(2016-2017年)。韓国:朝鮮大学校外国語学部日本語科助教授(2017-2018年)、台湾:国立国防大学語文中心専任教師(2018-2021年)を経て、現在は九州共立大学共通教育センター講師(2021年-)。 主な研究業績として、単著書籍に『1960s 失踪するアメリカ——安部公房とポール・オースターの比較文学的批評』(春風社、2022年12月12日、全432頁、ISBN:9784861108518)、共著書籍に松本常彦・波潟剛編『近現代文学と東アジア―教育と研究の多様性に向けて』(花書院、2016年3月)、과경 일본어 문학. 문화연구회・김효순 편저 《동아시아의 일본어 문학과 문화의 번역、 번역의 문화》(ソウル:역락、2018年2月)、杨本明・大場健司他『高考日语满分宝典』全5巻(上海:上海交通大学出版社、2022年3月)、福岡市文学館編『運動族 花田清輝』(福岡市文学館、2014年11月)など。論文に“Picasso’s Paintings as Allusions: A Comparative Study of Abe Kōbō’s The Ruined Map and Paul Auster’s Ghosts.” Trans-Humanities 9(3). 2016.、「失踪と残存記憶-村上春樹『ノルウェイの森』とディスカバー・ジャパン-」(『台灣日本語文學報』第43号、2018年6月)、「マイナー文学としての岩井俊二― 映画『スワロウテイル』と東アジアの表象」(『跨境 : 日本語文学研究 = Border crossings : the journal of Japanese-language literature studies』第14号、2022年6月)など。

【研究内容】
比較文学・比較文化と日本近現代文学、アメリカ文学、日本語教育学を専攻し、安部公房研究を行っています。
日本語文学/英語文学を、
①比較文学・比較文化(海外文学や絵画、映画、アニメ、マンガ、写真、音楽といった他メディア)、
②同時代言説(同時代の活字/非活字メディア)、
③文学理論・現代思想(実存主義、ポスト構造主義)
といった脱領域的・横断的な視点から読んできました。

専門の安部公房(1924-1993)研究では、1960年代の小説を、ポール・オースター(Paul Auster, 1947-)やナサニエル・ホーソーン(Nathaniel Hawthorne, 1804-1864)、T・S・エリオット(Thomas Sterns Eliot, 1888-1965)、ポール・ボウルズ(Paul Bowles, 1910-1999)といった英語文学との相互交通から比較文学的に論じてきました。
また、日本近現代文学では花田清輝や村上春樹、村上龍、サブカルチャー研究、映画研究では岩井俊二、1960年代、1980年代の同時代研究、日本におけるポストモダニズム、アメリカ文学ではポール・オースターなども研究しています。
日本語教育学の分野では、日本語教材の執筆なども行なっています。
受賞等 第29回日本比較文学会賞受賞(2024年6月)
学内における委員会活動等 ①国際交流委員会委員
②教職員互助会幹事
③大学HP学科広報
社会貢献・国際連携等 【国際教育活動、留学生支援】
九州大学基幹教育院 学習サポーター(2013年5月-2016年8月、2017年5月-2017年9月)
九州大学附属図書館 図書館学習サポーター(2014年3月-2016年9月)
九州大学外国人留学生・研究者サポートセンター 留学生サポーター(2014年4月-2014年6月)
「新入留学生オリエンテーションツアー」(九州大学附属図書館)講師(2015年4月)
「新入留学生オリエンテーションツアー」(九州大学附属図書館)講師(2016年4月)
韓国・朝鮮大学校外国語学部日本語科助教授(2017年9月-2018年8月)
韓国・朝鮮大学校「2018学年度学生自立探求チームプロジェクト」指導教官(2018年5月-2018年6月)
台湾・国立国防大学語文中心専任教師(2018年10月-2021年3月)

【国際研究活動】
九州大学交換留学プログラムThe 21st Century Challenges in Studying Abroad Program (CSP) 採択(国立台湾大学、2016年9月-2017年1月)
韓国日本文化学会第51回国際学術大会(韓国・忠南大学校)討論者(2016年10月)
韓国日本文化学会第53回国際学術大会(韓国・韓南大学校)討論者(2017年10月)
韓国日本文化学会『日本文化学報』第75輯 論文審査委員(2017年11月)
韓国日本文化学会『日本文化学報』第82輯 論文審査委員(2019年8月)
第7回東アジアと同時代日本語文学フォーラム2019台北大会(台湾・東呉大学)司会(2019年1月)
韓國日本研究總聯合會第10回國際學術大會(オンライン国際学会)討論者(2022年4月16日)
韓国日本文化学会第62回国際学術大会(韓国・忠南大学校、オンライン国際学会)討論者(2022年9月24日)
研究活動の概要

論文61

・論文名:杨本明, 大場健司, 菫春燕, 郑新超《5周突破新日语能力考试全真模拟试题N1》

・種類:著書

・筆者:共著

・発行年月日:2021年6月1日

・出版社:外语教学与研究出版社

・概要

日本語能力試験(JLPT)N1の対策の模擬試験を作成し、北京外語大学の外語教学与研究出版社から出版した。上海理工大学の楊本明先生らとの共同研究で執筆したもので、同じメンバーで2014年に出版した日本語能力試験(JLPT)N1問題集の新バージョンである。全問題と解説の添削、校正を行なった(全272ページ)。依頼あり。
[全ページにおける全問題と解説の添削、校正を担当](共著:楊本明、大場健司ほか)

 

論文62

・論文名:「日本文化論における「縄文」の系譜学」

・種類:その他

・筆者:単著

・発行年月日:2021年7月31日

・出版社:『宗左近・花の会会報』第2号

・概要

柄谷行人『世界史の構造』(岩波書店、2010年6月)において論じられた「遊動」の歴史、およびフランスのポストモダン哲学者ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuzze, 1925-1995)の「ノマドロジー」(Nomadologie)論をもとに、日本における「縄文」言説の歴史を論じた。依頼あり。

 

論文63

・論文名:「森元斎著『国道3号線——抵抗の民衆史』」

・種類:その他

・筆者:単著

・発行年月日:2021年10月1日

・出版社:『九大日文』第38号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会)

・概要

哲学者、森元斎氏の著書『国道3号線——抵抗の民衆史』(共和国、2020年8月)に関する書評を、九州大学の学会誌に寄稿した。書評では、「九州」という視座に注目して、鶴見俊輔や石牟礼道子、谷川雁、森崎和江、原田正純らの思想を扱っている。

 

論文64

・論文名:「北九州市立文学館第30回企画展「詩の水脈—北九州 詩の100年」講演記録」

・種類:その他

・筆者:単著

・発行年月日:2022年2月

・出版社:『宗左近・花の会会報』第3号(宗左近・花の会、pp.5-6)

・概要

北九州市立文学館の企画展「詩の水脈—北九州詩の100年」で開催された講演会に関する記録である。依頼あり。

 

論文65

・論文名:杨本明, 大場健司, 刘苗苗, 香月玲子《高考日语满分宝典全真模拟试题》

・種類:著書

・筆者:共著

・発行年月日:2022年3月

・出版社:上海交通大学出版社(ISBN:9787313265982)

・概要

中国の大学入試における日本語試験(模擬試験)に関する共著書籍を、上海交通大学出版社から出版した。上海理工大学の楊本明先生らとの共同研究で作成した。[全ページにおける全問題と解説の添削、校正を担当](共著:杨本明, 大場健司, 刘苗苗, 香月玲子)

 

論文66

  • 論文名:杨本明, 大場健司, 叶蓉, 高翼《高考日語満分宝典作文》
  • 種類:著書
  • 筆者:共著
  • 発行年月日:2022年3月
  • 出版社:上海交通大学出版社(ISBN:9787313265852)
  • 概要

中国の大学入試における日本語試験(作文)に関する共著書籍を、上海交通大学出版社から出版した。上海理工大学の楊本明先生らとの共同研究で作成した。[全ページにおける全問題と解説の添削、校正を担当](共著:杨本明, 大場健司, 叶蓉, 高翼)

 

論文67

・論文名:杨本明, 大場健司, 疏蒲剑, 大本启典《高考日语满分宝典阅读》

・種類:著書

・筆者:共著

・発行年月日:2022年3月

・出版社:上海交通大学出版社(ISBN:9787313266064)

・概要

中国の大学入試における日本語試験(読解)に関する共著書籍を、上海交通大学出版社から出版した。上海理工大学の楊本明先生らとの共同研究で作成した。[全ページにおける全問題と解説の添削、校正を担当](共著:杨本明, 大場健司, 疏蒲剑, 大本启典)

 

論文68

・論文名:杨本明, 大場健司, 疏蒲剑, 张芳《高考日语满分宝典语法与词汇》

・種類:著書

・筆者:共著

・発行年月日:2022年3月

・出版社:上海交通大学出版社(ISBN:9787313265906)

・概要

中国の大学入試における日本語試験(文法、語彙)に関する共著書籍を、上海交通大学出版社から出版した。上海理工大学の楊本明先生らとの共同研究で作成した。[全ページにおける全問題と解説の添削、校正を担当](共著:杨本明, 大場健司, 疏蒲剑, 张芳)

 

論文69

・論文名:杨本明, 大場健司, 陈海燕, 元金香《高考日语满分宝典听力》

・種類:著書

・筆者:共著

・発行年月日:2022年3月

・出版社:上海交通大学出版社(ISBN:9787313265869)

・概要

中国の大学入試における日本語試験(リスニング)に関する共著書籍を、上海交通大学出版社から出版した。上海理工大学の楊本明先生らとの共同研究で作成した。[全ページにおける全問題と解説の添削、校正を担当](共著:杨本明, 大場健司, 陈海燕, 元金香)

 

論文70

・論文名:セカイ系サブカルチャーと原子力—岩井俊二『PiCNiC』と村上春樹—

・種類:学術論文

・筆者:単著

・発行年月日:2022年4月16日

・出版社:『韓國日本研究總聯合會第10回國際學術大會』(国際学会プロシーディング)

・概要

セカイ系サブカルチャーにおける「原子力」や「核」の表象(representation)を、文学/映画/アニメ/マンガといった多種多様なメディアの視座から考察した。

 

論文71

・論文名:セカイ系サブカルチャーと原子力—岩井俊二『PiCNiC』と村上春樹—

・種類:学会発表

・筆者:単著

・発行年月日:2022年4月16日

・出版社:韓國日本研究總聯合會(韓國日本語文學會、大韓日語日文學會、日本語文學會、韓國日本文化學會)

・概要

セカイ系サブカルチャーにおける「原子力」や「核」の表象(representation)を、文学/映画/アニメ/マンガといった多種多様なメディアの視座から考察した。

 

論文72

・論文名:「三浦雅士著『スタジオジブリの想像力——地平線とは何か』」

・種類:その他

・筆者:単著

・発行年月日:2022年3月

・出版社:『九大日文』第39号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会)

・概要

批評家、三浦雅士氏(1946年-)によるアニメ批評を、ポストモダニズム(Postmodernism)の視座から論じた。

 

 

論文73

・論文名:茂木謙之介、大嶋えり子、小泉勇人編『コロナとアカデミア』

・種類:著書

・筆者:共著

・発行年月日:2022年5月11日

・出版社:名古屋:雷音学術出版(ISBN 978-4-9912264-0-3)

・概要

新型コロナ・ウイルス流行下での遠隔授業の運営方法に関する共著書籍である。「九州共立大学共通教育センター「ことばと日本文化」 (1・2年生)授業実践報告」(p.13)の章を担当した。全181頁。

 

論文74

・論文名:マイナー文学としての岩井俊二― 映画スワロウテイルと東アジアの表象

・種類:学術論文

・筆者:単著

・発行年月日:2022年6月30日

・出版社:『跨境 日本語文学研究』第14号(pp. 177-190)

・概要

国際学会「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」の国際査読誌『跨境 日本語文学研究』第14号に掲載された学術論文である。岩井俊二(1963年-)監督の映画『スワロウテイル』(1996年9月)における東アジアのディアスポラ(Diaspora)の表象(representation)をメディア(media)越境的に論じている。1980年代以降、日本のポストモダン(postmodern)では、坂本龍一(1952年-)らの電子音楽や押井守(1951年-)の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995年11月)といったアニメ映画によって「テクノ・オリエンタリズム」(Techno-Orientalism)が形成されている。岩井俊二『スワロウテイル』をこういったサブカルチャー(subculture)の文脈に位置づけながら、映画内における日本語/英語/中国語を、ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze, 1925-1995)&フェリックス・ガタリ(Pierre-Félix Guattari, 1930-1992)の「ノマドロジー」(Nomadologie)や「マイナー文学」(Milor Literature)の視座から論じた。

 

論文75

・論文名:アニメの中の互酬性—細田守『おおかみおとこの雨と雪』と柄谷行人—

・種類:学術論文

・筆者:単著

・発行年月日:2022年9月24日

・出版社:『韓國日本文化學會第62回國際學術大會』(国際学会プロシーディング)(pp. 146-156)

・概要

韓国日本文化学会第62回国際学術大会(於・韓国:忠南大学校、オンライン国際学会)におけるプロシーディングに収録された論文である。細田守(1967年-)監督のアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』における現代思想の受容について論じている。具体的には、批評家、柄谷行人(1941年-)の『世界史の構造』(岩波書店、2010年6月)における「遊動」(ノマドロジー)や「互酬性」(贈与と返礼)の影響関係について論じている。

 

論文76

・論文名:アニメの中の互酬性—細田守『おおかみこどもの雨と雪』と柄谷行人—

・種類:学会発表

・筆者:単著

・発行年月日:2022年9月24日

・出版社:韓国日本文化学会第62回国際学術大会(於・韓国:忠南大学校、オンライン国際学会)

・概要

日本文化関連の国際学会で、細田守(1967年-)監督のアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』における現代思想の受容について、オンライン(Zoom)を用いて口頭発表を行なった。具体的には、批評家、柄谷行人(1941年-)の『世界史の構造』(岩波書店、2010年6月)における「遊動」(ノマドロジー)や「互酬性」(贈与と返礼)の影響関係について論じた。

 

論文77

・論文名:楊本明編輯團隊、大場健司『JLPT新日檢【N1考題】10回全真模擬試題』

・種類:著書

・筆者:監修

・発行年月日:2022年9月7日

・出版社:台湾:捷徑文化(ISBN:9786267116180)

・概要

台湾の出版社、捷徑文化から日本語能力試験(JLPT)関連の教科書を出版した。日本語能力試験N1レベルの模擬試験が10回分収録されている。上海理工大学の楊本明先生らとの共同研究で作成したものを、大場が監修者として全てチェックし、修正を行うことで作成されている。
[全ページ(pp. 1-816)における全問題と解説の添削、校正を担当](共著:楊本明編輯團隊、大場健司)

 

論文78

・論文名:楊本明編輯團隊、大場健司『JLPT新日檢【N2考題】10回全真模擬試題

・種類:著書

・筆者:監修

・発行年月日:2022年10月12日

・出版社:台湾:捷徑文化(ISBN:9786267116197)

・概要

台湾の出版社、捷徑文化から日本語能力試験(JLPT)関連の教科書を出版した。日本語能力試験N2レベルの模擬試験が10回分収録されている。上海理工大学の楊本明先生らとの共同研究で作成したものを、大場が監修者として全てチェックし、修正を行うことで作成されている。
[全ページ(pp. 1-768)における全問題と解説の添削、校正を担当](共著:楊本明編輯團隊、大場健司)

 

論文79

・論文名:「永野潤著『イラストで読むキーワード哲学入門』」

・種類:その他

・筆者:単著

・発行年月日:2022年10月1日

・出版社:『九大日文』第40号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会)pp. 21-23)

・概要

哲学者、永野潤氏の著書『イラストで読むキーワード哲学入門』(白澤社、2019年4月)に関する書評を、九州大学の学会誌に寄稿した。書評では、ポストモダン(postmodern)後のJ=P・サルトル(Jean-Paul Sartre, 1905-1980)の再評価や、サブカルチャー(subculture)の視座から論じている。

 

論文80

・論文名:「書評 松枝佳奈著『近代文学者たちのロシア ——二葉亭四迷・内田魯庵・大庭柯公』 (ミネルヴァ書房、2021 年)」

・種類:その他

・筆者:単著

・発行年月日:2022年11月20日

・出版社:『日本比較文学会九州支部NEWSLETTER』(日本比較文学会九州支部事務局、pp. 4-5)

・概要

日本比較文学会九州支部の『NEWSLETTER』創刊号に、松枝佳奈著『近代文学者たちのロシア ——二葉亭四迷・内田魯庵・大庭柯公』(ミネルヴァ書房、2021 年6月)に関する書評を寄稿した。この研究書では二葉亭四迷(1864–1909年)、内田魯庵(1868–1929)、大庭柯公 (1872年–没年不詳)の「ロシア研究」が多様な資料をもとに詳細に論じられており、書評では日本/ロシア/イギリスを越境する「三点測量」などの比較文学的な研究方法について論じている。依頼あり。

 

論文81

・論文名:「近況報告」

・種類:その他

・筆者:単著

・発行年月日:2021年10月1日

・出版社:『日本比較文學會九州支部会報』第34号(日本比較文学会九州支部、2021年10月1日、p. 9)

・概要

日本比較文学会九州支部の『会報』第34号に、2020年度における①著書・論文、②講演・口頭発表 、③海外主張などの研究・教育業績に関する近況報告を寄稿した。台湾で行なった研究・教育業績をまとめている。

 

論文82

・論文名:「会員短信」

・種類:その他

・筆者:単著

・発行年月日:2022年11月20日

・出版社:『日本比較文学会九州支部NEWSLETTER』創刊号(日本比較文学会九州支部事務局、2022年11月20日、p. 10)

・概要

日本比較文学会九州支部の『NEWSLETTER』創刊号に、単著学術書の拙著『1960s 失踪するアメリカ— 安部公 房とポール・オースターの比較文学的批評』(春風 社、2022 年 12 月12日)の紹介、及び2021年度の研究の近況に関する短信を寄稿した。

 

論文83

・論文名:『1960s 失踪するアメリカ——安部公房とポール・オースターの比較文学的批評』

・種類:著書

・筆者:単著

・発行年月日:2022年12月12日

・出版社:横浜:春風社(全432頁、ISBN:9784861108518)

・概要

日米比較文学に関する単著の学術書である。「アメリカ」や「都市」、「失踪」をキー・ワードに、日本文学/アメリカ文学の相互交通を比較文学的に吟味している。日本のアヴァンギャルド(Avantgarde)作家、安部公房(1924-1993年)と現代アメリカのポストモダン(Postmodern)作家、ポール・オースター(Paul Auster, 1947-)の文学テクストを、①比較文学・比較文化(海外文学や絵画、映画、音楽、ファッションといった他メディア)、②同時代言説(1960年代の活字メディア、非活字メディア)、③現代思想・文学理論(実存主義、ポスト構造主義)といった脱領域的・横断的な視座から論じている。
Oba Kenji reveals cross-cultural interaction between Japanese and American literatures in this book. He discusses literary texts of Japanese avant-garde writer Abe Kobo (1924-1993) and American postmodern writer Paul Auster (1947-) from the perspectives of (1) comparative literature and culture (foreign literature and other media such as painting, film, music and fashion), (2) discourse studies (print and non-print media in the 1960s), and (3) contemporary thought and literary theory (existentialism and post-structuralism).

 

論文84

・論文名:「いま、安部公房を読むということ——実存主義とポストモダニズム——」

・種類:学会発表

・筆者:単著

・発行年月日:2023年4月15日

・出版社:韓國日本硏究總聯合會 (韓國日本文化學會、韓國日本語文學會、大韓日語日文學會、日本語文學會)(於・韓国:忠南大學校(オンライン国際学会))

・概要

ポストモダン(Postmodern)後の実存主義(Existentialism)再評価の文脈で安部公房(1924-1993年)を「読む」ことの意義を論じた。具体的には、ジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930-2004)、柄谷行人(1941年-)によるポストモダン批判を踏まえながら日本の「批評」の流れを概観し、そこに安部公房のテクストを位置付けて吟味した。

 

論文85

・論文名:「いま、安部公房を読むということ——実存主義とポストモダニズム——」

・種類:学術論文

・筆者:単著

・発行年月日:2023年4月15日

・出版社:『韓國日本硏究總聯合會 第11回 國際學術大會』(国際学会プロシーディング)(韓國日本文化學會、pp. 252-259)

・概要

ポストモダン(Postmodern)後の実存主義(Existentialism)再評価の文脈で安部公房(1924-1993年)を「読む」ことの意義を論じた。具体的には、ジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930-2004)、柄谷行人(1941年-)によるポストモダン批判を踏まえながら日本の「批評」の流れを概観し、そこに安部公房のテクストを位置付けて吟味した。

 

論文86

・論文名:「春風社編集部編『わたしの学術書——博士論文書籍化をめぐって』」

・種類:その他

・筆者:単著

・発行年月日:2023年3月31日

・出版社:『九大日文』第41号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 54-57)

・概要

博士論文書籍化に関する書籍『わたしの学術書——博士論文書籍化をめぐって』(春風社、2022年4月)についての書評を、九州大学の学会誌に寄稿した。書評では若手研究者の「ライフ・ヒストリー」(Life History)や学問への情熱について論じている。

 

論文87

・論文名:「縄文とポストモダニズム―同時代言説のなかの宗左近」

・種類:学会発表

・発行年月日:2023年6月25日

・出版社:2023年度日本近代文学会春季大会「国際研究集会 文学のインターセクション 翻訳とテクストの複数性」(於・青山学院大学青山キャンパス、2023年6月25日)パネル発表「宗左近の〈戦争の記憶〉と〈縄文〉言説」(パネル発表者:稲田大貴、大川内夏樹、大場健司)

・概要

日本近代文学会でのパネル発表「宗左近の〈戦争の記憶〉と〈縄文〉言説」(共同発表者:稲田大貴、大川内夏樹、大場健司)で行なった研究発表である。北九州市出身の詩人、宗左近(1919-2006年)の評論や詩における「縄文」を、ロラン・バルト(Roland Barthes, 1915-1980)のポストモダニズム(Postmodernism)や柄谷行人(1941年-)のポストモダニズム批判との関連で吟味した。

 

論文88

・論文名:「九州大学と私―韓国・台湾・日本での研究・教育生活について―」

・種類:学会発表

・筆者:単著

・発行年月日:2023年10月14日

・出版社:九州大学大学院比較社会文化研究院主催<地球社会統合科学府設立10周年企画>「文学系総合演習から巣立った卒業生との交流会」(於・JR博多シティ会議室、2023年10月14日)

・概要

九州大学大学院比較社会文化研究院の主催で開催された講演会において、卒業生として講演を行なった。九州大学時代の研究生活や、韓国・朝鮮大学校、台湾・国立国防大学、日本・九州共立大学での教育・研究生活を概観した。招待発表。

 

論文89

・論文名:「柄谷行人著『力と交換様式』」

・種類:その他

・筆者:単著

・発行年月日:2023年10月1日

・出版社:『九大日文』第42号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 43-45)

・概要

批評家、柄谷行人(1941年-)の著書『力と交換様式』(岩波書店、2022年10月)についての書評を、九州大学の学会誌に寄稿した。書評では、柄谷の「交換様式」論を、柄谷行人『探究II』(講談社、1989年6月)の「交通」論と比較して考察した。また、文学・文化研究と「アソシエーション」(association)の可能性についても吟味した。

 

論文90

・論文名:「実存主義的自由のために——安部公房、柄谷行人、D・グレーバー」

・種類 :学会発表

・種類 :学会発表

・筆者 :単著

・発行年月日:2023年12月2日

・出版社:日本比較文学会第55回中部大会 藤岡伸子さん追悼シンポジウム 「言葉の力を信じたい~つくる/はたらきかける力を文学/文化研究に取り戻す試みを~」(司会・ディスカッサント:岩田和男、発表者:平林美都子、林正子、大場健司、於・愛知学院大学名城公園キャンパス アリスタワー3階7301教室、2023年12月2日)

・概要 :

日本比較文学会中部支部での藤岡伸子先生追悼シンポジウムで研究発表を行った。司会・ディスカッサントは岩田和男先生(愛知学院大学教授)、報告者は平林美都子先生(愛知淑徳大学名誉教授)、林正子先生(岐阜大学名誉教授)、大場健司である。文学/文化研究がいかに個人の「生きる場」を活性化するかをテーマに、シンポジウムを行った。本発表では文学/文化研究と「生きること」をテーマに、安部公房(1924-1993)の小説における「失踪」を、J=P・サルトル(Jean-Paul Sartre, 1905-1980)の実存主義や、柄谷行人(1941-)のポストモダン批判、D・グレーバー(David Graeber, 1961-2020)の文化人類学の視座から吟味した。招待発表。

研究業績ホームページ「researchmap」 https://researchmap.jp/kenji-oba/
研究者情報ホームページ「J-GLOBAL」 https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201601017294579617
単著学術書『1960s 失踪するアメリカ——安部公房とポール・オースターの比較文学的批評』(春風社ホームページ「既刊目録」) http://www.shumpu.com/portfolio/928/
日本比較文学会ホームページ「日本比較文学会賞」 http://www.nihon-hikaku.org/activity/award.html
種類 著書・
学術論文の名称
単著
共著
筆者 発行
年月等
発行所等 概要
著書
著書 杨本明, 大場健司, 菫春燕, 李慧卿《5周突破新日语能力考试全真模拟试题N2》 共著 共著 2021.1 北京:外語教学与研究出版社 (全264ページ) 日本語能力試験(JLPT)N2の対策の模擬試験を作成し、北京外語大学の外語教学与研究出版社から出版した。上海理工大学の楊本明先生らとの共同研究で執筆したもので、同じメンバーで2014年に出版した日本語能力試験(JLPT)N2問題集の新バージョンである。全問題と解説の添削、校正を行なった(全264ページ)。依頼あり。
[全ページにおける全問題と解説の添削、校正を担当](共著:楊本明、大場健司ほか)
著書 과경 일본어 문학. 문화연구회、 김효순 편저 《동아시아의 일본어 문학과 문화의 번역、 번역의 문화》 (일본학총서34, 식민지 일본어 문학・ 문화시리즈73) (跨境日本語文学・文化研究会、金孝順編『東アジアの日本語文学と文化翻訳、翻訳文化』)(日本学叢書第38巻、植民地日本語文学・文化シリーズ第73巻) 共著 共著 2018.2 역락 (ソウル:ヨクラク) (全383ページ) 韓国語の論文集『東アジアの日本語文学と文化翻訳、翻訳文化』の〈경계를 넘는 <모래 여자> —아베 고보 (安部公房)、폴 보울즈、 T・S・엘리엇—〉「越境する『砂の女—安部公房、ポール・ボウルズ、T・S・エリオット—」(李先胤訳)の章を執筆した。安部公房『砂の女』(新潮社、1962年6月)における「沙漠」の表象を、アメリカの実存主義作家ポール・ボウルズ(Paul Bowels, 1910-1999)の『極地の空』(The Sheltering Sky, 1949)や詩人T・S・エリオット(Thomas Stearns Eliot, 1888-1965)の長詩『荒地』(The Waste Land, 1922)といった英文学受容や安部の満洲体験から論じた。依頼あり。
[pp. 113-139を担当]
(金孝順、河野龍也、大場健司 他12名)
著書 松本常彦、波潟剛編『近現代文学と東アジア—教育と研究の多様性に向けて』(比較社会文化叢書 第36巻) 共著 共著 2016.3 福岡:花書院 (全229ページ) 第3章「文学史の再検討」における大場健司「進化論・異端・アナキズム—安部公房「異端のパスポート」とスタンリー・キューブリック『2001年宇宙の旅』—」を担当した。安部公房のエッセイ「異端のパスポート」(『中央公論』1968年9月号)を1968年当時のSF映画や異端文学ブーム、遊牧民をめぐる同時代言説から論じた。スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick, 1928-1999)監督のSF映画『2001年宇宙の旅』(2001: A Space Odyssey, 1968)をフレームワークにして人類の起源を描くことで、同時代の「明治百年」言説を相対化していたことを明らかにした。[pp. 205-223を担当]
(松本常彦、波潟剛、大場健司 他11名)
著書 福岡市文学館編『運動族 花田清輝』 共著 共著 2014.11 福岡:福岡市文学館 (全120ページ) 第5章「近代の超克」における大場健司「負けるが勝ち—花田清輝『小説平家』と吉川英治、安部公房、J=P・サルトル」を担当した。古典文学『平家物語』の受容の歴史を論じた。花田清輝(1909-1974年)の長編小説『小説平家』(講談社、1967年5月)における「転形期」を、実存主義哲学者ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre, 1905-1980)の『聖ジュネ』(Saint Genet, comédien et martyr, 1952)におけるジャン・ジュネ(Jean Genet, 1910-1986)論の影響関係から論じた。依頼あり。
[pp. 104-105を担当]
(濱本總、有馬学、大場健司 他7名)
著書 杨本明、大場健司、韩静、李菁菁、阳贝壳、陈海燕、时晓阳《完全掌握新日语能力考试全真模拟试卷N1》 共著 共著 2014.2 北京:外语教学与研究出版社 (全271ページ) 上海理工大学の楊本明先生らとの共同研究で、日本語能力試験(JLPT)N1の問題集を作成した。北京外語大学直属の外語教学与研究出版社から出版された。全6回分のN1の模擬試験が収録されており、別冊として128ページに及ぶ詳細な解説が付されている。試験問題、及び解説は、中国の日本語データベースを用いて副主編の先生方(韩静先生、李菁菁先生、阳贝壳先生、陈海燕先生、时晓阳先生)との共同作業で作成されたものを、主編の楊本明先生がまとめ、それを大場が全てチェックし、修正を行うことで作成されている。
[全ページ(pp. 1-271)における全問題と解説の添削、校正を担当](共著:杨本明、大場健司、韩静、李菁菁、阳贝壳、陈海燕、时晓阳)
著書 杨本明、大場健司、韩静、李菁菁、阳贝壳、陈海燕、时晓阳《完全掌握新日语能力考试全真模拟试卷N2》 共著 共著 2014.2 北京:外语教学与研究出版社 (全256ページ) 上海理工大学の楊本明先生らとの共同研究で、日本語能力試験(JLPT)N2の問題集を作成した。北京外語大学直属の外語教学与研究出版社から出版された。全6回分のN2の模擬試験が収録されており、別冊として詳細な解説が付されている。試験問題、及び解説は、中国の日本語データベースを用いて副主編の先生方(韩静先生、李菁菁先生、阳贝壳先生、陈海燕先生、时晓阳先生)との共同作業で作成されたものを、主編の楊本明先生がまとめ、それを大場が全てチェックし、修正を行うことで作成されている。
[全ページ(pp. 1-256)における全問題と解説の添削、校正を担当](共著:杨本明、大場健司、韩静、李菁菁、阳贝壳、陈海燕、时晓阳)
学術論文
学術論文 「一九五〇年代日本におけるアメリカ論ブームと安部公房―エッセイ「アメリカ発見」とJ=P・サルトル、鶴見俊輔―」 単著 単著 2021.3 『九大日文』第37号(福岡:九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会) 1950年代日本における「反米ナショナリズム」と文学、思想、芸術運動、サブカルチャー間のダイナミックな関係性を考察した。安部公房のエッセイ「アメリカ発見」(『中央公論』1957年11月号)の持つ政治性が、「反米ナショナリズム」には還元不可能であることを、安部のサルトル受容、鶴見俊輔受容から実証した。査読あり。
学術論文 「「パラレル・ワールド」と「穴」の水脈―安部公房『砂の女』とポール・オースター『闇の中の男』―」 単著 単著 2021.2 『日本文化學報』第88輯(大田:韓国日本文化学会) (pp. 139-164) 日本文化に関する国際誌に、日米の実存主義文学とポストモダン文学における「パラレル・ワールド」論に関する論文を投稿した。安部公房(1924-1993年)の『砂の女』(新潮社、1962年6月)とポール・オースター(Paul Auster, 1947-)の『闇の中の男』(Man in the Dark, 2008)における「穴」を比較した。『砂の女』では、ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre, 1905-1980)の実存主義(Existentialism)の影響を受けながら、世界に空いた「穴」での自己差異化が描かれていた。一方で、『闇の中の男』では、ジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930-2004)の幽霊論やSF映画『マトリックス』(The Matrix, 1999)との類似性を見せる「パラレル・ワールド」が展開されていた。
学術論文 『一九六〇年代安部公房文学の比較文学的研究―『砂の女』・『燃えつきた地図』・『内なる辺境』―』 単著 単著 2020.9 博士論文(福岡:九州大学大学院地球社会統合科学府) (pp. 1-206) 日本のアヴァンギャルド(Avant-garde)作家、安部公房(1924-1993年)の小説やエッセイを、1960年代における同時代言説、及びアメリカ文学との相互交通から比較文学的に論じたものである。具体的には、1960年代における「都市」や「アメリカ」(America)をめぐる同時代言説や、同時代の日本におけるアメリカ文学受容との関係、安部が現代アメリカ文学、特にポール・オースター(Paul Auster, 1947-)などのポストモダン文学(Postmodern Literature)に与えた影響を論じている。査読あり。
学術論文 「マイナー文学としての岩井俊二―映画『スワロウテイル』と東アジアの表象」 単著 単著 2019.10 『第7回東アジアと同時代日本語文学フォーラム2019台北大会予稿集』(名古屋:東アジアと同時代日本語文学フォーラム) (pp. 69-70) 岩井俊二(1963年-)の映画『スワロウテイル』(1996年9月)のポストモダニズム(Postmodernism)と東アジアの表象(Representation)を論じた。具体的には、1980年代以降のYellow Magic Orchestra(YMO)や押井守(1951年-)監督のアニメ映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995年11月)に代表されるテクノオリエンタリズム(Techno-orientalism)、1990年代の岡崎京子(1963年-)の少女漫画に代表されるサブカルチャー(Subculture)、ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze, 1925-1995)&フェリックス・ガタリ(Pierre-Félix Guattari, 1930-1992)の「ノマドロジー」(Nomadologie)から論じた。
学術論文 「安部公房、その政治性の変遷—『安部公房全集』全30巻におけるアナキズム関連用例データベース作成とのその分析」 単著 単著 2019.2 『日本文化學報』第80輯(大田:韓国日本文化学会) (pp. 257-278) 『安部公房全集』全30巻における「アナキズム」(Anarchism)関連の用例をすべて収集してデータベース化した。安部の政治思想の変遷を、同時代言説との関係から前景化した。一般的に、先行研究では安部公房の政治思想はマルクス主義(Marxism)に還元される傾向がある。しかし、安部はジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre, 1905-1980)の実存主義(Existentialism)を吸収しながら、自身の政治的ポジションを形成しており、それが同時代のアナキズムと類似を見せること示した。査読あり。
学術論文 "Politics of Urban Space: The Representation of America in Abe Kōbō's Works in the 1960s." 単著 単著 2018.7 The 8th International Symposium on Ethical Literary Criticism. Fukuoka: The International Associatio 国際学会IAELCの予稿集に収録された英語のプロシーディングである。1960年代の安部公房文学における「都市空間」と「アメリカ」の表象を英語で論じた。1960年代の安部はアメリカの都市小説を受容することで、『燃えつきた地図』(新潮社、1967年9月)などの都市小説を書いていた。その背景には、1950年代に安部が鶴見俊輔(1922-2015年)のアメリカ論を経由してアメリカ文学と思想、特にプラグマティズム(Pragmatism)を受容していたことがあったことを論じた。
学術論文 「失踪と残存記憶—村上春樹『ノルウェイの森』とディズカバー・ジャパン—」 単著 単著 2018.6 『台灣日本語文學報』第43號(台北:台湾日本語文学会)(pp. 1-25) 村上春樹(1949年-)の『ノルウェイの森』(講談社、1987年9月)では登場人物が「旅行」したり「失踪」したりする。その背景に1970年代に国鉄が行った「ディスカバー・ジャパン」(Discover Japan)キャンペーンがあったことを同時代のニュー・アカデミズム(New Academism)に代表されるポストモダニズム(Postmodernism)との関係から論じた。村上春樹が描いた、不在(absence)の「他者」の「痕跡」=「残存記憶」を探す旅行が、アンリ・ベルグソン(Henri Bergson, 1859-1941)の『物質と記憶』(Matière et mémoire, 1896)に由来することを論じた。査読あり。
学術論文 「ロックを聴く安部公房—プログレッシブ・ロックとシンセサイザー—」 単著 単著 2018.5 『日本文化學報』第77輯(大田:韓国日本文化学会) (pp. 139-155) 安部公房は日本でもかなり早い時期から演劇にシンセサイザー(synthesizer)による電子音楽を用いていた。その安部による作曲活動の背景にはイギリスのロックバンド、ピンク・フロイド(Pink Floyd)受容があった。また、では、そのピンク・フロイドや武満徹(1930-1996年)、高橋悠治(1938年-)といった音楽家に用いられた、自然音を電子音で再現する「ミュージック・コンクレート」(concrete music)の技法の影響が、安部の長編小説『カンガルー・ノート』(新潮社、1911年11月)にあることを論じた。査読あり。
学術論文 "Picasso's Paintings as Allusions: A Comparative Study of Abe Kōbō's The Ruined Map and Paul Auster's Ghosts." 単著 単著 2016.10 Trans-Humanities Vol. 9. No. 3. Seoul: Ewha Institute for the Humanities. (pp. 147-166) 英語の国際誌に日米比較文学の研究成果を寄稿した。ポール・オースター(Paul Auster, 1947-)の『幽霊たち』(Ghosts, 1986)が、安部公房『燃えつきた地図』(新潮社、1967年9月)を受容して都市空間での「失踪」を描いていたことを明らかにした。その際に、安部とオースターが共通して参照したパブロ・ピカソ(Pablo Picasso, 1881-1973)の絵画がメタファーとして果たした役割を比較した。オースターがジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930-2004)の「署名・出来事・コンテクスト」("Signature Event Context," 1971)をもとに、「可能性」(possibilities)と「マーク」(mark)の問題を描いていたことを論じた。査読あり。
学術論文 「越境する『砂の女』—安部公房、T・S・エリオット、ポール・ボウルズ」 単著 単著 2016.6 『跨境 日本語文学研究』第3号(ソウル:高麗大学校GLOBAL日本研究院) (pp. 63-81) 従来は満洲や日本共産党との関係で論じられてきた安部公房『砂の女』(新潮社、1962年6月)を英米文学受容や世界文学の視座から論じた。安部公房『砂の女』における「沙漠」の表象を、アメリカの実存主義作家ポール・ボウルズ(Paul Bowels, 1910-1999)の『極地の空』(The Sheltering Sky, 1949)や詩人T・S・エリオット(Thomas Stearns Eliot, 1888-1965)の長詩『荒地』(The Waste Land, 1922)といった英文学受容や安部の満洲体験から論じた。査読あり。
学術論文 「越境する『砂の女』—安部公房とアメリカ文学の相互交通—」 単著 単著 2015.11 『2015年度輔仁大学日本語文学科國際シンポジウム論文集』第2巻(台北:輔仁大学日本語文学科) (pp. 33-41) 「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」が台湾の輔仁大学で開催された際の国際学会プロシーディングに収録された。安部公房『砂の女』(新潮社、1962年6月)における「沙漠」の表象を、アメリカの実存主義作家ポール・ボウルズ(Paul Bowels, 1910-1999)の『極地の空』(The Sheltering Sky, 1949)や詩人T・S・エリオット(Thomas Stearns Eliot, 1888-1965)の長詩『荒地』(The Waste Land, 1922)といった英文学受容や安部の満洲体験から論じた。
学術論文 「安部公房「ミリタリィ・ルック」あるいは実存主義的アナキズム—短編小説「保護色」、三島由紀夫、ロラン・バルト—」 単著 単著 2015.3 『九大日文』第25号(福岡:九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会) (pp. 113-137) 安部公房『内なる辺境』(中央公論社、1971年11月)に収録されたエッセイ「ミリタリィ・ルック」(『中央公論』1968年8月号)を、同時代のビートルズ(The Beatles)の軍服調の衣装、三島由紀夫(1925-1970年)の「盾の会」、ロラン・バルト(Roland Barthes, 1915-1980)の『神話作用』(Mythologies, 1957)、ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre, 1905-1980)の実存主義(Existentialism)といった同時代言説との関係から論じた。査読あり。
学術論文 「進化論・異端・アナキズム—安部公房「異端のパスポート」とスタンリー・キューブリック『2001年宇宙の旅』—」 単著 単著 2014.9 『「近現代文学と東アジア」研究会 第二回合同研究会』(華東師範大学、pp. 2-11) 安部公房のエッセイ「異端のパスポート」「異端のパスポート」(『中央公論』1968年9月号)を1968年当時のSF映画や異端文学ブーム、遊牧民をめぐる同時代言説から論じた。スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick, 1928-1999)監督のSF映画『2001年宇宙の旅』(2001: A Space Odyssey, 1968)をフレームワークにして人類の起源を描くことで、安部は同時代の「明治百年」言説を相対化していた。
学術論文 「安部公房『燃えつきた地図』とナサニエル・ホーソーン「ウェイクフィールド」—安部公房のアメリカ文学受容とジャン=ポール・サルトル、大橋健三郎—」 単著 単著 2014.3 『九大日文』第23号(福岡:九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会) (pp. 95-113) 安部公房の長編小説『燃えつきた地図』(新潮社、1967年9月)が「都市空間」での「失踪」を、ナサニエル・ホーソーン(Nathaniel Hawthorne, 1804-1864)の「ウェイクフィールド」("Wakefield," 1835)やジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre, 1905-1980)の『存在と無―現象学的存在論の試み』(L'Être et le néant, 1943)を受容して「国家からの失踪」として描いていることを比較文学の視座から論じた。査読あり。
学術論文 『失踪する文学―ポール・オースター『幽霊たち』と安部公房—』 単著 単著 2014.1 修士論文(福岡:九州大学大学院比較社会文化学府) (pp. 1-68) 1960年代の安部公房文学、特に『他人の顔』(講談社、1964年9月)や『燃えつきた地図』(新潮社、1967年9月)が、エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe, 1809-1849)やナサニエル・ホーソーン(Nathaniel Hawthorne, 1804-1864)といったアメリカ文学を受容して「都市空間」を描いていたことを論じた。そして逆に、安部の作品がポール・オースター(Paul Auster, 1947-)といった現代アメリカのポストモダン文学(Postmodern Literature)に影響を与えたことを論じた。
学会発表
学会発表 Existential Literature in Japan and its Influence on Postmodernism in the United States 2021.5.14 Existential Literature and the Ethics of Engagement (Taiwan: National Taiwan University, Online Pres 国立台湾大学外国語文学研究所のKirill Ole Thompson先生に招待され、オンラインで英語での研究発表を行った。ポストモダン以後の日本思想史における実存主義再評価や、日本の実存主義文学がアメリカのポストモダニズムに与えた影響について論じた。具体的には2000年代における柄谷行人の批評におけるサルトルの再評価について詳細に検討した。招待発表。
学会発表 「日仏戦後思想史とアソシエーション—三宅芳夫著『ファシズムと冷戦のはざまで—戦後思想の胎動と形成1930-1960』評」 2021.2 日本近現代文学研究会(台北:櫞椛文庫) 台湾の大学教員が集まって行われた研究会において、三宅芳夫『ファシズムと冷戦のはざまで—戦後思想の胎動と形成1930-1960』(東京大学出版会、2019年10月)に関する報告を行った。同書の内容を概観した上で、日本とフランスにおける戦後思想史における「アソシエーション」の可能性について論じた。
学会発表 「マイナー文学としての岩井俊二—映画『スワロウテイル』と東アジアの表象」 2019.10 第7回東アジアと同時代日本語文学フォーラム2019台北大会(台北:東呉大学) 岩井俊二(1963年-)の映画『スワロウテイル』(1996年9月)のポストモダニズム(Postmodernism)と東アジアの表象(Representation)を論じた。具体的には、1980年代以降のYellow Magic Orchestra(YMO)の電子音楽や押井守(1951年-)監督のアニメ映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995年11月)に代表されるテクノオリエンタリズム(Techno-orientalism)、1990年代の岡崎京子(1963年-)の少女漫画に代表されるサブカルチャー(Subculture)、ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze, 1925-1995)&フェリックス・ガタリ(Pierre-Félix Guattari, 1930-1992)の「ノマドロジー」(Nomadologie)から論じた。審査あり。
学会発表 「捨て子たちの革命—村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』から大友克洋『AKIRA』へ—」 2019.5 日本近代文学会2019年度春季大会(東京:専修大学) 大友克洋(1954年-)のアニメ映画『AKIRA』(東宝、1988年7月)における村上龍(1952年-)の『コインロッカー・ベイビーズ』(講談社、1980年10月)の受容を実証した。更に、『AKIRA』や『コインロッカー・ベイビーズ』で描かれたような1980年代サブカルチャーにおける「捨て子」の表象(Representation)を、同時代のニュー・アカデミズム(New Academism)やポストモダン(Postmodern)、新人類との関係から論じた。審査あり。
学会発表 "Rethinking Existential Philosophy in Japanese Modern Literature." 2019.4 Existential Literature and the Ethics of Engagement. (Taipei: National Taiwan University.) 国立台湾大学外国語文学研究所に招待され、日本における実存主義(Existentialism)の文学・思想に関して英語で講演を行った。具体的には三木清(1897-1945年)らの京都学派から坂口安吾(1906-1955年)、安部公房(1924-1993年)、大江健三郎(1935年-)、中村文則(1977年-)に至る、日本の実存主義文学・思想の概観を示した。その上で、専門の安部公房における実存主義と英文学の結びつきについて論じた。招待発表。
学会発表 「都市空間の政治学—1960年代安部公房文学におけるアメリカ表象」 2018.7 国際文学倫理学批評研究会第八回(福岡:北九州国際会議場) 1960年代の安部公房(1924-1993年)はアメリカの都市小説を受容することで、『燃えつきた地図』(新潮社、1967年9月)などの都市小説を書いていたが、その背景に、1950年代に安部が鶴見俊輔(1922-2015年)の評論を経由してアメリカ文学と思想、特にプラグマティズム(Pragmatism)を受容していたことがあったことを論じた。また、1950年代のアメリカ論ブームを受け、安部が自身のアメリカ論を形成していった過程を論じた。依頼あり。
学会発表 「失踪と逆転移—村上春樹『ノルウェイの森』と安部公房」 2017.3 台湾日本語文学会第327回例会(台北:台北市YMCA城中會所) 村上春樹(1949年-)の『ノルウェイの森』(講談社、1987年9月)では登場人物が「旅行」したり「失踪」したりする。その背景に1970年代に国鉄が行った「ディスカバー・ジャパン」(Discover Japan)キャンペーンがあったことを同時代のニュー・アカデミズム(New Academism)に代表されるポストモダニズム(Postmodernism)との関係から論じた。村上春樹が描いた、不在(absence)の「他者」の「痕跡」=「残存記憶」を探す旅行が、アンリ・ベルグソン(Henri Bergson, 1859-1941)の『物質と記憶』(Matière et mémoire, 1896)に由来することを論じた。審査あり。
学会発表 「ポール・オースター『闇の中の男』における安部公房受容—『砂の女』とパラレル・ワールド—」 2016.6 日本比較文学会第78回全国大会(東京:東京大学) ポール・オースター(Paul Auster, 1947-)の『闇の中の男』(Man in the Dark, 2008)と安部公房(1924-1993年)の『砂の女』(新潮社、1962年6月)の比較を行った。両作品においては共通して砂漠に開いた「穴」において物語が展開する。このような「世界」に開いた「穴」は実存主義(Existentialism)やポスト構造主義(Poststructuralism)において度々言及されてきたモチーフだった。オースターが描く「穴」を、ジョルダーノ・ブルーノ(Giordano Bruno, 1548-1600)の無限世界説やジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930-2004)の幽霊論、スラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek, 1949-)の「現実界の砂漠」論から論じた。審査あり。
学会発表 「越境する『砂の女』—安部公房とアメリカ文学の相互交通—」 2015.11 2015年度輔仁大学日本語文学科国際シンポジウム×「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」台湾大会国際シンポジウム「文化翻訳×翻訳文化」(台北:輔仁大学) 従来は満洲や日本共産党との関係で論じられてきた安部公房『砂の女』(新潮社、1962年6月)を英米文学受容や世界文学の視座から論じた。安部公房『砂の女』における「沙漠」の表象を、アメリカの実存主義作家ポール・ボウルズ(Paul Bowels, 1910-1999)の『極地の空』(The Sheltering Sky, 1949)や詩人T・S・エリオット(Thomas Stearns Eliot, 1888-1965)の長詩『荒地』(The Waste Land, 1922)といった英文学受容や安部の満洲体験から論じた。審査あり。
学会発表 「ロックを聴く安部公房—ビートルズ、プログレッシブ・ロック、シンセサイザー」 2015.5 第38回日本比較文学会中部大会シンポジウム「音とコラボレートする」(名古屋:名古屋大学) 安部公房は日本でもかなり早い時期から演劇にシンセサイザー(synthesizer)による電子音楽を用いていた。その安部による作曲活動の背景にはイギリスのロックバンド、ピンク・フロイド(Pink Floyd)受容があった。また、では、そのピンク・フロイドや武満徹(1930-1996年)、高橋悠治(1938年-)といった音楽家に用いられた、自然音を電子音で再現する「ミュージック・コンクレート」(concrete music)の技法の影響が、安部の長編小説『カンガルー・ノート』(新潮社、1911年11月)にあることを論じた。招待発表。
学会発表 「進化論・異端・アナキズム—安部公房「異端のパスポート」とスタンリー・キューブリック『2001年宇宙の旅』—」 2014.9 第2回「近現代文学と東アジア」研究会(上海:華東師範大学) 安部公房のエッセイ「異端のパスポート」「異端のパスポート」(『中央公論』1968年9月号)を1968年当時のSF映画や異端文学ブーム、遊牧民をめぐる同時代言説から論じた。スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick, 1928-1999)監督のSF映画『2001年宇宙の旅』(2001: A Space Odyssey, 1968)をフレームワークにして人類の起源を描くことで、同時代の「明治百年」言説を相対化していたことを明らかにした。
学会発表 「「ピカソの石版画」から「泣く女」へ—ポール・オースター『幽霊たち』と安部公房『燃えつきた地図』」 2014.6 日本比較文学会第76回全国大会(東京:成城大学) ポール・オースター(Paul Auster, 1947-)の『幽霊たち』(Ghosts, 1986)が、安部公房『燃えつきた地図』(新潮社、1967年9月)を受容して都市空間での「失踪」を描いていたことを明らかにした。その際に、安部とオースターが共通して参照したパブロ・ピカソ(Pablo Picasso, 1881-1973)の絵画がメタファーとして果たした役割を比較した。オースターがジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930-2004)の「署名・出来事・コンテクスト」("Signature Event Context," 1971)をもとに、「可能性」(possibilities)と「マーク」(mark)の問題を描いていたことを論じた。審査あり。
学会発表 「失踪する文学—ポール・オースター『幽霊たち』と安部公房」 2013.10 第12回九州大学日本語文学会(福岡:九州大学伊都キャンパス) 1960年代の安部公房文学、特に『他人の顔』(講談社、1964年9月)や『燃えつきた地図』(新潮社、1967年9月)が、エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe, 1809-1849)やナサニエル・ホーソーン(Nathaniel Hawthorne, 1804-1864)といったアメリカ文学を受容して「都市空間」を描いていたことを論じた。そして逆に、安部の作品がポール・オースター(Paul Auster, 1947-)といった現代アメリカのポストモダン文学(Postmodern Literature)に影響を与えたことを論じた。審査あり。
学会発表 「都市のアナキズム—安部公房『内なる辺境』の脱構築的批評」 2013.5 日本近代文学会2013年度春季大会若手研究者ワークショップ(東京:法政大学市ヶ谷キャンパス) 安部公房のエッセイ集『内なる辺境』(中央公論社、1971年11月)所収エッセイが、1968年に雑誌『中央公論』に収録された各エッセイから如何に改稿されたのかを、政治的なコンテクストから論じた。『内なる辺境』では主に「国家」を「内部」から「脱構築」(deconstruct)する「都市」の発見について語られている。アナキズム(Anarchism)的色彩の濃い『内なる辺境』では「国家」によって領土化された空間に逃走線を引いて脱領土化する試みとしてノマドロジー(Nomadologie)が提示されていることを論じた。審査あり。
その他
その他 【書評】「坂上秋成著『Keyの軌跡』」 単著 単著 2020.10 『九大日文』第36号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会)(pp. 71-74) 小説家の坂上秋成(1948年-)氏がアニメ/ゲーム・ブランドKeyについて記した『Keyの軌跡』(星海社、2019年11月)に関する書評を寄稿した。東浩紀(1971年-)は「セカイ系」サブカルチャーとして『Air』(2000年9月)や『CLANNAD』(2004年4月)といったKeyによるビジュアル・ノベル(Visual Novel)(小説形式のゲーム)を高く評価した。そしてこれがきっかけとなり、宇野常寛(1978年-)と東浩紀の論争が起こることとなる。この書評では、こういった東浩紀や宇野常寛らのサブカルチャー論の背景を概観しながら、坂上氏のサブカルチャー論を紹介した。査読有り。
その他 【書評】「外山健二著『ポール・ボウルズ 越境する空の下で』(春風社)」 単著 単著 2020.7 『図書新聞』3455号(武久出版、第6面) 外山健二『ポール・ボウルズ 越境する空の下で』(春風社、2020年3月)に関する書評を『図書新聞』第3455号に寄稿した。ユダヤ系アメリカ人作家ポール・ボウルズ(Paul Bowels, 1910-1999)の日本における研究状況を概観した上で、本書が世界文学やポストコロニアリズム(Postcolonialism)の視座から如何にボウルズの文学を論じているかを評した。依頼あり。
その他 【書評】「三宅芳夫著『ファシズムと冷戦のはざまで―戦後思想の胎動と形成1930-1960』」 単著 単著 2020.3 『九大日文』第35号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 43-46) 三宅芳夫『ファシズムと冷戦のはざまで―戦後思想の胎動と形成1930-1960』(東京大学出版会、2019年10月)に関する書評を『九大日文』第35号に寄稿した。三木清(1897-1945年)や丸山真男(1914-1996年)、花田清輝(1909-1974年)、ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre, 1905-1980)、ジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930-2004)を論じた本書が、柄谷行人(1941年-)の『世界史の構造』(岩波書店、2010年6月)と同じく自由な諸個人のアソシエーション(Association)を目指すものであることを論じた。査読有り。
その他 【解説】「《巻頭言》若い研究者の肖像」 単著 単著 2019.10 『日本比較文学会九州支部会報』第32号(日本比較文学会九州支部、pp. 1-2) 日本の若手研究者が置かれた状況や、韓国・台湾での研究・教育経験に関するエッセイを、日本比較文学会九州支部の会報に寄稿した。具体的には、韓国・朝鮮大学校、及び台湾・国立国防大学での研究・教育経験に関して、海外(特に東アジア)での資料調査方法や学会の動向、若手研究者の就職問題などについて論じている。依頼あり。
その他 【発表要旨】「捨て子たちの革命—村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』から大友克洋『AKIRA』へ—」 単著 単著 2019.4 『会報』第130号(日本近代文学会、pp. 17-18) 日本近代文学会2019年度春季大会(於・専修大学)での口頭発表の発表要旨である。大友克洋(1954年-)のアニメ映画『AKIRA』(東宝、1988年7月)における村上龍(1952年-)の『コインロッカー・ベイビーズ』(講談社、1980年10月)の受容を、1980年代日本のポストモダン(Postmodern)との関係から論じた。
その他 【解説】大場健司、賴怡真「二〇一八年度台湾日本語文学国際学術研討会「日本研究の課題と展望 文学・言語・社会」」 共著 共著 2019.3 『九大日文』第33号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 101-105) 2018年度台湾日本語文学会国際研討会に関するイベント・レビューを執筆した。台湾における日本語文学研究や日本語研究の潮流を紹介した。2018年12月15日、台湾の輔仁大学で台湾日本語文学会が開催され、姉妹学会である日本の昭和文学会の和田博文氏が基調講演を行った。他に、勝又基氏や斎藤正志氏が口頭発表を行ったので、その内容の概要を示した。(大場健司、賴怡真、担当箇所:前半部分(pp. 101-102))、査読有り。
その他 【書評】「李先胤著『21世紀に安部公房を読む—水の暴力性と流動する世界』」 単著 単著 2018.10 『九大日文』第32号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 64-66) 韓国の研究者である李先胤氏の著書『21世紀に安部公房を読む―水の暴力性と流動する世界』」(勉誠出版、2016年6月)に関する書評を『九大日文』第32号に寄稿した。海外(韓国やアメリカ)の安部公房研究を日本に紹介することで、日本国内の研究を活発化する狙いがあった。この研究書では、安部公房文学で散見される「水」の表象(Representation)が様々な同時代の思想や言説との関連で論じられており、この書評では、その概要を示すとともに、東日本大震災(2011年3月11日)を経て安部公房をいかに読み得るかを論じた。査読有り。
その他 【書評】「内田康著『村上春樹論—神話と物語の構造』」 単著 単著 2018.3 『九大日文』第31号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 44-146) 内田康氏による村上春樹(1949年-)に関する研究書『村上春樹論―神話と物語の構造』(瑞蘭國際、2016年10月)の書評を執筆した。台湾の淡江大学には村上春樹研究センターがあり、村上春樹研究が盛んである。内田氏の研究書も、この研究所での研究の一環として出版されたものだった。この研究書では、村上春樹の文学で「反復」される「物語」の「構造」(structure)が「神話」との関係で論じられていた。査読有り。
その他 【解説】「韓国日本文化学会第51回国際学術大会(1)」 単著 単著 2017.10 『九大日文』第30号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 93-100) 韓国・忠南大学校で2016年10月22日に開催された韓国日本文化学会第51回国際学術大会のイベント・レビューである。韓国における日本語文学研究の紹介を行った。また、この大会は国際学術大会であるため、日本の研究者らの韓国研究に関する発表も行われた。このイベント・レビューでは、勝村誠氏の安重根(1879-1910年)研究などを紹介した。査読有り。
その他 【書評】「王佑心著『〈文化翻訳〉で解く日本近現代文学—涙香・漱石・荷風・公房—」 単著 単著 2017.3 『九大日文』第29号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 109-112) 海外での「文化翻訳」(Cultural Translation)研究を日本に紹介するため、書評を執筆した。さらに、台湾における安部公房研究の紹介も行った。「文化翻訳」は、レイ・チョウ『プリミティブへの情熱―中国・女性・映画』(Primitive Passions: Visuality; Sexuality, Ethnography, and Contemporary Chinese Cinema, 1995)などで広まった概念であり、書評で扱った王佑心著『〈文化翻訳〉で解く日本近現代文学―涙香・漱石・荷風・公房―』(致良出版社、2014年9月)では、それが黒岩涙香(1862-1920年)や夏目漱石(1867-1916年)、永井荷風(1879-1959年)、安部公房(1924-1993年)のテクストとの関連で論じられていた。査読有り。
その他 【解説】「二〇一六年度台湾日本語文学国際学術研討会「日本語文学研究と社会との連動」」 単著 単著 2017.3 『九大日文』第29号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 134-138) 台湾・輔仁大学で2016年12月17日に開催された台湾日本語文学会国際学術研討会のイベント・レビューである。グローバル化の中での日本文化研究について論じている。日比嘉高氏による基調講演「グローバル化の中の日本文化研究を考える」における日本の大学での文系学部廃止の問題などについて言及した。「グローバル化」(Globalization)とは異なる「インターナショナル」(International)な国際化が必要であることを論じた。査読有り。
その他 【書評】「Richard F. Calichman. Beyond Nation: Time, Writing, and Community in the Work of Abe Kōbō」 単著 単著 2016.10 『九大日文』第28号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 112-115) アメリカで出版された安部公房に関する研究書を日本に紹介する書評を執筆した。アメリカにおいては、安部公房はポストモダン(Postmodern)やネーション(Nation)批判の文脈で受容されていることを論じた。査読有り。
その他 【解説】 「中華民國兒童文學學會『宮澤賢治及其文學』學術研討會」 単著 単著 2016.10 『九大日文』第28号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 119-121) 2016年に台湾で行われた宮沢賢治(1896-1933年)についてのシンポジウムに関するイベント・レビューを執筆した。中華民国児童文学学会での宮沢賢治研究や宮沢賢治文学の中国語訳について論じた。また、日本では東日本大震災(2011年3月11日)からの復興との関連で宮沢賢治の「雨ニモマケズ」などの詩が評価されていたが、同様の言説が台湾の宮沢賢治受容にも当てはまることを指摘した。査読有り。
その他 【発表要旨】「ポール・オースター『闇の中の男』における安部公房受容—『砂の女』とパラレル・ワールド—」 単著 単著 2016.5 『日本比較文學會會報』第204号(日本比較文学会、pp.24-25) 日本比較文学会第78回全国大会(於・東京大学)での口頭発表の発表要旨である。ポール・オースター(Paul Auster, 1947-)の『闇の中の男』(Man in the Dark, 2008)と安部公房(1924-1993年)の『砂の女』(新潮社、1962年6月)の比較を行った。ポストモダン(Postmodern)の視座から、ジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930-2004)の幽霊論、スラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek, 1949-)の「現実界の砂漠」論から論じた。
その他 【解説】「二〇一五年度輔仁大学日本語文学科国際シンポジウム×「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」台湾大会「文化翻訳/翻訳文化」」 単著 単著 2016.3 『九大日文』第27号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 54-58) 2015年に台湾・輔仁大学で開催された「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」のイベント・レビューを『九大日文』第27号に寄稿した。フォーラムのテーマが「文化翻訳/翻訳文化」であったため、植民地文学の翻訳や「外地」(朝鮮・台湾)における作家の移動や書物の流通などに関する発表が行われた。「東アジア」という視座から「日本語文学」を脱領域的に論じることの重要性を論じた。査読有り。
その他 【書評】「二〇一四年度福岡市文学館企画展「運動族 花田清輝—骨を斬らせて肉を斬る」 単著 単著 2015.10 『九大日文』第26号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 107-110) 福岡市文学館の企画展「運動族 花田清輝」に関するイベント・レビューを『九大日文』第26号に寄稿した。この企画展では、批評家、花田清輝(1909-1974年)の全活動が取り上げられ、批評家の総体が提示されている。例えば、従来の研究では忌避されがちな東方会時代の評論なども扱われており、戦時中の花田の評論活動の新しい側面が示されている。査読有り。
その他 【解説】「二〇一四年度福岡市文学館企画展「運動族 花田清輝—骨を斬らせて肉を斬る」 単著 単著 2015.10 『九大日文』第26号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 107-110) 福岡市文学館の企画展「運動族 花田清輝」に関するイベント・レビューを『九大日文』第26号に寄稿した。この企画展では、批評家、花田清輝(1909-1974年)の全活動が取り上げられ、批評家の総体が提示されている。例えば、従来の研究では忌避されがちな東方会時代の評論なども扱われており、戦時中の花田の評論活動の新しい側面が示されている。査読有り。
その他 【発表要旨】「音楽と文学「ロックを聴く安部公房—ビートルズ、プログレッシブ・ロック、シンセサイザー」」 単著 単著 2015.4 『日本比較文学会中部支部ニューズレター』第14号(日本比較文学会中部支部、pp. 5-6) 第38回日本比較文学会中部大会シンポジウム「音とコラボレートする」(於・名古屋大学)での招待発表の発表要旨である。安部公房の演劇や長編小説『カンガルー・ノート』(新潮社、1911年11月)における電子音楽受容を、音楽技法「ミュージック・コンクレート」(Concrete Music)のアダプテーション(Adaptation)から考察した。
その他 【解説】「国家の枠を超える日本語文学研究—「近現代文学と東アジア」研究会第二回合同研究会の報告—」 単著 単著 2015.3 『Crossover』第37号(九州大学大学院地球社会統合科学府、pp. 25-26) 2014年に上海・華東師範大学で開催された「近現代文学と東アジア」研究会のイベント・レビューである。ガヤトリ・スピヴァク(Gayatri Spivak, 1942-)が『ある学問の死—惑星思考の比較文学へ』(Death of Discipline, 2003)において述べたように、現代の文学研究は国境を超えた「プラネタリー」(Planetary)なものとなっている。そのような「国家の枠を超えた日本語文学研究」の可能性を論じた。依頼有り。
その他 【解説】「東呉大学日本語文学系「二〇一四年度日本語教育国際シンポジウム」 単著 単著 2014.10 『九大日文』第24号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 84-86) 2014年5月3日に台湾・東呉大学で開催された「日本語教育国際シンポジウム」のイベント・レビューを『九大日文』第24号に投稿した。各発表内容について紹介するだけでなく、台湾における村上春樹研究についても紹介した。また、海外の研究者が外国語としての日本語で文学作品を読むことの意義についても論じた。具体的には、ジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930-2004)の『他者の言語—デリダの日本講演』(法政大学出版局、1989年12月)や『グラマトロジーについて』(De la grammatologie, 1967)における言語論をもとに、東アジアの日本語文学研究を、テクストの両義性=翻訳不可能(ジャック・デリダ『他者の言語』)の視座から論じた。査読有り。
その他 【翻訳】 Andrea Germer. 「多様性共存とは何か?」(大場健司訳) 2014.7 第7回地球社会統合科学セミナー「多様性共存の可能性―ジェンダー・セクシュアリティ・クィアの観点から」(於・九州大学伊都地区稲盛財団記念館) 九州大学のアンドレア・ゲルマー准教授(Prof. Andrea Germer)による英語の学会発表用論文を日本語に翻訳した。翻訳した論文は会場で配布された。ミュージック・ビデオ(Music Video)によるジェンダー(Gender)の問題を扱った論文の翻訳を行った。依頼あり。
その他 【発表要旨】「「ピカソの石版画」から「泣く女」へ—ポール・オースター『幽霊たち』と安部公房『燃えつきた地図』」 2014.4 『日本比較文學會會報』第198号(日本比較文学会、pp. 18-19) 日本比較文学会第76回全国大会(於・成城大学)での口頭発表の発表要旨である。ポール・オースター(Paul Auster, 1947-)の『幽霊たち』(Ghosts, 1986)における、安部公房『燃えつきた地図』(新潮社、1967年9月)の受容を、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso, 1881-1973)の絵画や、ジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930-2004)の現代思想から論じた。
その他 【翻訳】 Andrea Germer. ‘Transcultural Modernism and Visual Propaganda’(大場健司訳) 2014.1 第5回地球社会統合科学セミナー「「メディア・表象・言語」―昭和前期の日本とアジア―」(於・九州大学伊都キャンパス) 九州大学のアンドレア・ゲルマー准教授(Prof. Andrea Germer)による英語の学会発表用論文を日本語に翻訳した。翻訳した論文は会場で配布された。戦時中のプロパガンダ(Propaganda)のためのグラフ誌『NIPPON』のモダニズム(Modernism)に関する論文を翻訳した。依頼あり。
その他 【書評】「上野俊哉著『思想の不良たち—1950年代もう一つの精神史』 単著 単著 2013.10 『九大日文』第22号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 53-56) 批評家、上野俊哉氏(1962年-)の『思想の不良たち―1950年代もう一つの精神史』(岩波書店、2013年3月)の書評を『九大日文』第22号に寄稿した。『思想の不良たち』では、鶴見俊輔(1922-2015年)、花田清輝(1909-1974年)、安部公房(1924-1993年)、きだみのる(1895-1975年)が1950年代に展開した思想が、フランス現代思想との関連で論じられていた。この書評では、1950年代の日本思想と同時代ヨーロッパのポストモダン(Postmodern)思想の「トランスローカル」(trans-local)な相同性についてまとめた。査読有り。
その他 【書評】「苅部直著『安部公房の都市』」 単著 単著 2013.3 『九大日文』第21号(九州大学日本語文学会「九大日文」編集委員会、pp. 88-91) 政治思想史を専門とする苅部直氏(1965年-)による安部公房研究書『安部公房の都市』(講談社、2012年2月)の書評を『九大日文』第21号に寄稿した。苅部氏が安部の著作に見いだした「デモクラシー」(Democracy)が、柄谷行人(1941年-)の『世界史の構造』(岩波書店、2010年6月)などでの「アソシエーション」(Association)と類似することを論じた。査読有り。