学術論文 |
日本のヤングケアラーに関する研究の文献検討―看護分野の課題と役割― |
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吉田恭子 |
2021.3.31 |
福岡県立大学看護学研究紀要 |
ヤングケアラーが介護しているのは祖母や祖父であった。介護内容は家事や話し相手、時には受診動向もしており、介護の頻度は毎日から週1回程度、時間は1時間から4~5時間と幅があった。賃労働を子どもさせるわけにはいかず、いわゆる、お手伝いの範疇を超えた家事を担っていたことから、子どもの権利が侵害されていることが明らかになった。高齢者の介護には介護サービスが利用されていることから、介護支援専門員や訪問看護師など訪問系サービスの従事者が気に掛ける必要性があると考えられる。 |
学術論文 |
高齢者施設において終末期ケアをすすめる地域連携の要因に関する研究 |
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吉田恭子 |
2020.3.31 |
西九州大学健康福祉学部紀要 |
全国7470名の小規模多機能型居宅介護の従事者へ調査票を配布し、1372部を分析対象とした(回収率18%)。地域連携と個人や業務上の因子で、年代、身近な人への看取り介護経験、訪問診療や訪問看護の利用、終末期マニュアルなどが関連していった。下位尺度と前述の因子すべてにおいて有意な差があったのは、地域のリソースが具体的に分かるであった。この地域リソースには医師、看護師、薬局や介護サービスが含まれる。従事者の年代では60歳代が30歳代よりも肯定的にとらえていたことから、年齢の高い人は当該地域での長い経験を知として地域資源を活用していると考えられる。また、マニュアルを目安として医師や看護師に相談しやすくなったと考えられ、支援体制を活用する必要があると考えられる。 |
学術論文 |
小規模多機能型居宅介護の従事者に生じる終末期ケアに係る課題の検証 |
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吉田恭子 |
2019.3.31 |
福岡県立大学看護学研究紀要 |
福岡県の小規模多機能型居宅介護の従事者を対象とした。約3割が看取りを経験し、看取った人数は1人が最も多かった。専門職の経験が10年未満の者は10年以上の者に比べ、夜間の急変や死亡への不安が有意にたかった。また、介護職のほうが看護職よりも自身の死の受け入れ準備不足が有意に高く、医療的知識に不安を感じていた。研究協力時に既に10年以上の専門的経験を有する専門職者らは、職場のOJTのほかに個人の経験を重ね、それらが終末期ケアに関する課題となる不安を軽減させる要因になったと考えられる。 |
学術論文 |
小規模多機能型居宅介護職員の介護経験が職場満足と終末期ケアに与える影響 |
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吉田恭子 |
2018.3.31 |
九州社会福祉研究 |
全国の小規模多機能型居宅介護の従事者を対象にした。組織特性・仕事特性尺度を用いた結果、すべての項目について肯定的な回答が7割以上であった。利用者中心的介護や集団の雰囲気の下位尺度のすべてでは肯定的な回答が8割であった。しかし、仕事に必要な情報伝達、介護の裁量度、リーダーシップを発揮することは肯定的な回答が7割であった。また、組織特性・仕事特性と近親者への看取りや介護の経験、当該事業所における終末期ケアの経験、当該事業所の経験年数、年齢、性別に有意な差があった。介護経験をコンピテンシーとして活用しながら終末期ケアを行っていると考えられた。一方で法人の方針なども関係すると考えられる。 |
学会発表 |
小規模多機能型居宅介護における看取りの経過―援助者の視点から― |
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吉田恭子 |
2020.9.12 |
日本社会福祉学会第68回秋季大会 |
8か所の事業所の従事者から協力を得て整理した看取りの事例は18あり、高齢でガン末期が多かった。従事者は看取りに対する否定的な感情は利用者や家族の人となりや意向を知り、事業所内の助けがある中で変容した。事業所内の協力のほかにかかりつけ医や訪問看護との連携により外部との協力体制を整えることは従事者の心の安寧となり、丁寧なケアにつながると考えられる。 |
学会発表 |
小規模多機能型居宅介護における終末期ケアの実態調査―疾病およびケア内容の実態― |
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吉田恭子 |
2019.8.21 |
日本看護研究学会第45回学術集会 |
回収された1372のうち、事業所にて看取りを経験した従事者は573名で、1~2人を看取っていた人が多かった。死亡時の疾病は老衰が最も多く、次いで、がん、認知症、心不全などであった。終末期におけるケアの多くは観察やバイタルサイン測定などで看護と介ともには共通であった。看護職のケアで多かったもののうち、介護職とは異なるものは医師への報告、吸引などであった。今後はがんや認知症を併発した患者の増加が予測されており、トータルペインに対するケアが必要だと考えられる。 |