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教員氏名 佐野 和規
ローマ字 SANO Kazunori
所属学科 子ども健康学科
職名 教授
所属学科(兼任) 専攻科 子ども健康学専攻
研究室 弘明館 A406
研究室TEL 093-693-3398
メールアドレス ksano@kwuc.ac.jp
k-sano@fains.jp
主要担当授業科目 教育相談論 教育心理学 生徒指導論 教職概論 生徒指導特論  特別支援教育論 教育学特論 障害児心理学 キャリアデザインⅠⅡ 修了研究ⅠⅡⅢ
専門分野 教育相談 学校臨床心理学 生徒指導 特別支援教育 死生観教育 自傷自殺への対応
オフィスアワー 月9:00~12:00 
火9:00~12:00
水11:00~12:00 16:00~17:00
木9:00~12:00
金11:00~12:00
学生の皆さんへ 私は、教員として学校現場での経験が豊富ですが、一方で公認心理師や臨床心理士の資格を生かして、児童生徒の相談業務にも従事してきました。また、自傷や自殺対応を中心に研究も行ってきており、博士論文を著書として出版します。このように、教員としての顔と、心理師としての顔と、研究者の顔の3つが私にはあり、それらの経験を養護教諭や保育士、幼稚園教諭を目指す学生の皆様にお伝えすることができればと思います。現在学校現場や教育には課題が山積していますが、それらの課題への対応には心理学や教育相談論に基づいたコツがあります。そうしたコツについていっしょに学んでいきましょう。
最終学歴 大阪大学大学院文学研究科 博士前期(修士)課程修了
上越教育大学大学院学校教育研究科臨床心理学コース 修士課程修了
兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科学校教育実践学専攻 博士課程修了
取得学位 文学修士 
修士(教育学)
博士(学校教育学)Ph.D.
職歴 2001年度山梨県立中央高等学校定時制教諭(主に教育相談担当、特別支援・教育相談コーディネーター)
2016年度山梨県総合教育センター相談支援部主幹指導主事(心理相談員)
2020年度山梨県立中央高等学校通信制教頭
2021年度学習院大学教職課程非常勤講師(教育相談授業担当)
2023年度山梨県立わかば支援学校ふじかわ分校副校長
2024年度九州女子短期大学子ども健康学科教授
所属学会名 日本学校教育相談学会 日本心理臨床学会 日本教育心理学会 日本学校心理学会 日本学校メンタルヘルス学会 日本仏教心理学会 日本発達障害学会
日本LD学会 日本特殊教育学会
教育研究社会活動 【心理相談資格】
公認心理師、臨床心理士、学校心理士、ガイダンスカウンセラー

【心理技法資格(研修受講歴)】
EMDR治療者(Weekend2修了) ボディコネクトセラピー治療者(アドバンス修了) ホログラフィトーク(ベーシック、心理的逆転、複雑性PTSDワークショップ修了) USPT(中級p1トレーニング修了) ブレインスポッティング(ベーシック修了) メンタライゼーション(MBTベーシック2回受講) 自我状態療法(入門研修2回受講)  SE(ソーマティックエクスペリエンシング)初級受講中

【教員免許】
中学校教諭専修免許状(社会) 高等学校教諭専修免許状(地歴公民)
特別支援学校教諭2種免許状(知的、肢体)

【活動】
教育センター心理相談員(カウンセラー)4年
不登校、発達障害、トラウマなどの相談支援活動ボランティア 20年
私設カウンセリングルーム相談スタッフ 1年

受賞等 定時制通信制教育勤続10年表彰
学内における委員会活動等 九州女子短期大学運営委員会
社会貢献・国際連携等 各地で教育相談や生徒指導、特別支援教育に関する講演会や研修会の講師を行う
研究活動の概要

生徒の自傷自殺問題についての学校での教師の対応方法について研究している。日常の中で予防的にどのように生徒と接し,生徒との人間関係を作っていくか。あるいは、自傷自殺予防教育として、死生観や仏教思想、スピリチュアリティをどのように活用できるか。実際に自傷や自殺をしようとしている生徒にどのように接するかについても検討している。

それ以外に、いじめ問題への対応、発達障害者支援方法であるソーシャルスキルトレーニング、応用行動分析についても論文を執筆している。

また、カウンセリングの基礎理論であるカール・ロジャーズの理論についての研究も続けている。

種類 著書・
学術論文の名称
単著
共著
筆者 発行
年月等
発行所等 概要
著書
著書 誰ひとり死なせない学校づくり―若者の自傷・自殺予防のための教育的支援を考える― 単著 佐野和規 2024.9 春風社 コロナ禍以後、若者の自傷自殺他害が多くなっている。そのような状況に対して、学校教員がどう対応し、生徒の自傷や自殺を防ぐかについて検討した内容である。生徒に声かけをしたり率直に話し合ったり、自殺等について対話をするする方が、自傷自殺他害の予防改善ができることを説く内容となった。博士論文をもとにして加筆し科研費によって出版する。
著書 事例1 早期発見の前提としての広範な定義,全件組織的対応の共通理解  今井五郎・嶋崎政男・渡部邦雄編『学校教育相談の理論・実践事例集 いじめの解明 第Ⅲ部 事例編 早期発見のための校内体制―各教師の役割』 共著 佐野和規他 2022.2 第一法規 いじめの早期発見のためには、いじめ防止対策推進法やそれに基づく文部科学省の施策である、「本人がいじめと思ったらいじめ」とする広範ないじめの定義、全件組織的対応を学校組織全体で共通理解しておく必要がある。そして、いじめ防止委員会の窓口の教員が明確になっている必要がある。
学術論文
学術論文 発達障害傾向のある高校生の授業への取り組み状況の改善―通常学校・学級の特別支援教育における応用行動分析の活用― 単著 佐野和規 2024.5 学習院大学教職課程年報10号,学習院大学教職課程 通常学校における特別支援教育の手法の一つに、応用行動分析という有効な方法論があるのにも係わらず、学校現場の教員に十分浸透していない。そのため現状では、応用行動分析を通常学校で活用して、児童生徒の行動問題が改善した具体的事例を公開して、応用行動分析の手法の具体的在り方を広めていく作業が必要である。そのような中、本論文は、応用行動分析によって、発達障害が疑われる生徒の授業中への集や野取り組み状況を改善した複数事例について取り上げ検討した。
学術論文 恵信尼の専修念仏の理解 ―五輪塔と死装束問題をめぐって― 単著 佐野和規 2023.9 日本仏教綜合研究21号,日本仏教綜合研究学会 日本の仏教思想を心理臨床に応用する基礎研究として、鎌倉新仏教の浄土真宗の宗祖親鸞とその妻恵信尼の思想を追究した。これまで親鸞と妻恵信尼の宗教観が違うという学説が多い中、両者が本質的に同じ宗教観であると説いた。浄土真宗では、すでに内観法という心理療法や真宗カウンセリングが打ち出されているが、鎌倉時代に民衆の平等を説いた親鸞の専修念仏の発想に立つことで、心理療法への応用ができると考える。
学術論文 通信制高校における1回のみのソーシャルスキル・トレーニングの効果について ―ワークへの負担軽減を意識した特別活動での実践― 単著 佐野和規 2023.5 学習院大学教職課程年報9号,学習院大学教職課程 通信制高校は現在対人関係が苦手な生徒の受け皿校になっているが、メンタルが不安定な生徒も多い。そのような中、ソーシャルスキルやメンタルの安定のためにも、ソーシャルスキルトレーニング(以下、SST)の実施が必要とされている。しかし、通信制高校では、SSTはこれまであまり実施されて来なかった。そこで、生徒のペアワーク等の負担感の軽減や限られた時間の中効率的にSSTを通信制高校において、実施することで、有意な統計上の効果がみられた。
学術論文 いじめを正確に認知し適切に対応できる教師の特徴について―いじめ法制及び被害者有責性意識との関連の中で― 単著 佐野和規 2022.3 学習院大学教職課程年報第8号,49-62頁 教師のいじめに関する意識調査を行い、657名の教師からデータを得た。そして、いじめ認知を適切に行う教師、および被害者にも責任があるという被害者有責意識に立たない教師が、どのような特徴を有しているか検討した。その結果、それらの適切ないじめ対応ができる教師は、いじめ防止対策推進法やいじめ防止方針を読んでいること、広範ないじめの定義や組織的対応について理解していること、中立よりも被害者に寄り添う姿勢を持つことなどの特徴が指摘できた。教師が適切ないじめ対応を行っていくためには、法令を読んだ入り、悪しき中立をせず、生徒に寄り添う姿勢が大切であることが確認できた。
学術論文 高校生を対象とした自傷傾向尺度の作成と検討 単著 佐野和規 2020.3 教育実践学論集 21, 兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科 これまでの自傷行為に関する質問紙は、表現が露骨であったり質問数が多かったりと、侵襲度が高く、学校現場での実施に耐えうるものではなかった。そこで、学校現場で実施可能な侵襲度の低い、自傷傾向尺度の作成を試みた。その結果、質問数も少なく表現も穏やかな自傷傾向尺度を作成できた。その際、ROC分析などの統計的手法を駆使して行った。さらに、生徒に対して調査を行う場合、生徒の負担をできるだけ減らし、必要な時計手法を駆使してアンケート結果を有効活用することが必要であることを確認した。
学術論文 定時制高校卒業後の社会生活に必要なスキルの検討 共著 若林上総、土居正城、戸賀沢亮子、佐野和規、加藤哲文 2019.5 発達障害研究 41 (1), 日本発達障害学会 定時制高校の生徒は発達障害等の課題を有した生徒が多く、卒業後の就労をスムーズに行い、社会的自立を果たしていく上での困難を抱えている。そのような中、生徒たちが社会適応し就労していくために、どのようなスキルが必要か、改めて確認することが必要となり、そのための尺度を作成した。
学術論文 高校生の自傷行為への教師の対応傾向について 共著 佐野和規、加藤哲文 2016 学校メンタルヘルス 19 (2), 日本学校メンタルヘルス学会 学校現場での自傷行為への教師の対応には「危機介入」「相談対話」「指導説諭」「連携見守り」の4つがあるが、4つの対応をすべて行う教師とすべての対応をしない教師に2分される状況があった。そうではなく、これらの4つの対応は自傷行為に対する4つの役割分担としてとらえ、それぞれの立場から自傷者に係わっていくことが有効である。なお、この4つの役割分担は自傷対応に限らず、あらゆる教育相談的対応においても有効であると考える。
学術論文 青年期における自傷行為の開始・維持・改善と「居場所」との関係 ――教員の支援方法に関わる質的分析―― 単著 佐野和規 2015.8.31 応用教育心理学研究 32 (1), 日本応用教育心理学会 自傷者数十名からの聴き取り調査により質的研究を行った。自傷者は、家庭にも学校にも一切居場所がない「絶対的居場所欠損状態」におかれるため自傷行為しか居場所がなくなる「自傷行為の居場所化」という状態に追い込まれる。そのような自傷者が立ち直るのは「改善キーパーソンの長期的関わり」が有効であることが確認できた。学校教員として、自らが改善キーパーソンとなるか、自傷者の周囲に信頼できる友人、カウンセラー、他の先生、職場の同僚などのキーパーソンをみつけていくことが自傷の改善につながる。このように今日の相談支援はキーパーソンとそれを支えるチームが必要である。
学術論文 青年期の自傷行為とスピリチュアリティ・死生観との関係について ――定時制高校在籍者を対象とする分析―― 単著 佐野和規、加藤哲文 2013 学校メンタルヘルス 16 (2), 日本学校メンタルヘルス学会 若者の自傷行為経験率が高まっている中、学校における対応方法として、死生観とスピリチュアリティの役割について確認した。しかし、青年期において死生観やスピリチュアリティを意識させると自傷傾向が悪化することが確認できた。生徒が自分の心身を大切にして、悩みを乗り越えていくために、死生観やスピリチュアリティをどのように活用していくか、検討していく必要があり、むやみな死生観教育は慎重に行われるべきである。
学術論文 「純粋性」に基づいた生徒指導―非行事例における規範的指導と共感的指導の統合― 単著 佐野和規 2002.4 Convictus,36(0),全国学校教育相談研究会 ロジャーズの中核3条件のうち、純粋性が日本ではあまり理解されず、教育相談でも活かされていない。純粋性とは体験過程を意識化し必要に応じて表明することであると適切に捉え、それを学校現場の集団的生徒指導に有効活用した実践研究。純粋性を根底に据えることで、規範的指導と共感的指導がバランスよく行えることを立証。
学会発表
学会発表 シンポジウム私の現場のメンタライジング 学校教育とメンタライジング・アプローチ 共著 佐野和規・嶋田博之・揖斐衣海・中西桃子 2023.12.3 日本メンタライゼーション研究会 第3回学術集会 メンタライジング概念が心理臨床において注目される中、日本ではそれぞれの領域で試行錯誤がなされている段階である。日本で学校教育に真っ先にメンタライジングアプローチを導入しようとしている立場から教員研修においてどのようにメンタライジングを解説するか、またその結果どのような感想が教員から寄せられているか報告した。
学会発表 学校の援助会議におけるメンタライジングの活用 ――対話を重視した小学校の事例―― 単著 佐野和規 2023.2 日本メンタライゼーション研究会 第2回学術集会 小学校における特性のある不登校児童について、継続的な支援会議を行った。その際、発表者は、常に、メンタライジングを意識して、本人の行動の背後にある気持ちを考えるメンタライジングを支援者や保護者、そして、発表者自身が行っていくように働きかけた。その結果、学校の先生はじめ支援者たちが本人をメンタライジングするようになり本人自身も内省力がつき衝動的行動が減った。
学会発表 ソーシャルスキルトレーニングを実践するための教育環境づくりとは(自主企画シンポジウム) 共著 原田恵理子, 星雄一郎, 渡辺弥生, 佐野和規, 齊藤敦子, 江村 理奈 2013.8 日本教育心理学会総会発表論文集 55 (0), 一般社団法人 日本教育心理学会 現代社会は、コミュニケーション能力が求められている。そのような中、学校現場においてソーシャルスキルトレーニングを行っていくことが有効であるが、そのための環境づくりはどうあるべきか。特別活動や総合的な探究の時間において、どのように体系的系統的に位置づけてソーシャルスキル教育を行っていくか、課題であり、検討していく必要がある。